甲状腺とは
甲状腺とは、首にあるホルモンを分泌する臓器です。
甲状腺ホルモンは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、体の代謝や成長などを調節をしています。
特に今回お話しする甲状腺機能亢進症は、猫ちゃんではよく遭遇しますが、ワンちゃんでは非常にまれです。高齢の猫ちゃんでは常に注意しなくてはいけない病気です。
反対にワンちゃんでは甲状腺機能低下症が多いです。ワンちゃんで見つかった場合は甲状腺のがんの可能性が高いです。僕自身も、腫瘍の患者さん以外ではワンちゃんで診断したことはありません。
症状
甲状腺ホルモンが過剰に分泌された結果、代謝の異常や循環の異常が出てきます。
その結果、
・多食 ・食欲不振 ・体重減少 ・嘔吐 ・下痢
・多飲多尿 ・活動の亢進 ・脱毛 ・高血圧 ・肝数値上昇

などの、非常に様々な症状を出します。
教科書的には高齢になってきたのによく食べるし元気いっぱい!けど痩せてきた、というのが一般的ですが、逆にまったく食べなくなる子もいるので、約8歳を超える猫ちゃんでは常に病気の鑑別に考えています。
診断
T4、fT4 (遊離サイロキシン)を血液検査で調べます。これらの数値が高ければ甲状腺機能亢進症と診断されます。
当院では、院内検査はしておりませんが数日以内には結果が出ますし、最近で院内で検査ができる病院さんも増えています。
治療
①内科療法(飲み薬)
抗甲状腺薬を服用します。一番基本的な治療になるかと思います。
服用後、体重の増加や症状の緩和が認められるのを確認しながら、定期的にホルモンの数値を再検査していきます。
②外科療法
甲状腺が、過形成、腺腫(良性腫瘍)、腺癌(悪性腫瘍)により発生するため、甲状腺ホルモンが安定し麻酔リスクが許容でき、かつ明らかに甲状腺が腫れている場合適応となる。
③食事療法
ヨウ素制限食を与えることで、薬なしで維持できる場合もあります。
猫ちゃんはグルメで好き嫌いする子も多いので食べてくれないと難しいですね。。。
☆治療の注意点
甲状腺機能亢進症の猫ちゃんは腎不全を隠し持っていることがあります!
薬の副作用ではなく、腎臓が治療前は正常値でも治療し始めると異常値になることがあります。もともと腎不全があるのですが甲状腺のせいで腎臓へ過剰な血流が行くことで、毒素も出してくれていたのが、血流が正常に戻ることで起こります。
ホルモン値だけでなく腎臓数値もチェックが重要です。
甲状腺機能亢進症は、たくさん食べたり、行動も活発になるため、病気の発症がわかりにくい病気です。
中齢~高齢の猫ちゃんは健康診断で血液検査を行うときに甲状腺ホルモンもチェックすることが望ましいかと思います。
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